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| この度、理事会における選挙を経て2025年9月27日に開催された年次総会において会長に選出されました大阪体育大学の土屋裕睦です。日本スポーツ心理学会は1973年に発足し、初代会長の松田岩男先生から数えて、11代目の会長を拝命することになりました。この間、藤田厚先生、徳永幹雄先生、杉原隆先生、猪俣公宏先生、石井源信先生、中込四郎先生、荒木雅信先生、山本裕二先生、筒井清次郎先生へと連綿と受け継がれてきたバトンをまずはしっかりと受け取り、そして少しでも良い形で次の会長にお渡しできるようにすることが私の使命と肝に銘じて取り組んでまいります。 |
| 日本スポーツ心理学会は学術団体として、スポーツの様々な現場で生じる課題や問題に対して、主に応用心理学の立場から接近を試みるスポーツ科学の一分野です。わが国におけるスポーツは単に競技のみを意味するのではなく、広く体育、野外活動、武道、健康運動、レクリエーション等、身体活動全般を含んでいるのが特徴ですが、昨今、このスポーツを巡って社会情勢が大きく転換しています。例えば、改正基本法においてスポーツは「世界共通の人類の文化」であると定義され、スポーツを通じて「幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利」であると明記されています。さらに従来の「する・見る・支える」に加えて、新たに「集まる・つながる」といった価値が付記されています。 |
そのような社会情勢の変革の中で、人々にウェルビーイングをもたらすスポーツのあり方について、心理学の視点からどのようなアプローチができるのか、新たな挑戦が求められています。特にスポーツ心理学は、心と体をつなぐ心身相関の問題や、気やイメージなど心のさまざまな機能の探求のように、他の心理学領域では扱われない事柄にも目を向ける必要があることから、学会員には本学会独自の、挑戦的・萌芽的研究が期待されています。学会員数は、大学院生を中心に年々増えており、今期のうちに1000名近くになる可能性もあります。このような若い研究者の挑戦を後押しすることも、バトンを託された会長の使命だと考えています。さらに本学会は、国際スポーツ心理学会ならびにアジア南太平洋スポーツ心理学会にも理事を輩出し、緊密な連携を取っていることから、これらの研究成果の発表を通じて、スポーツ心理学の国際的な発展にも貢献することが求められています。
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| 国際水準の研究の拡充に加え、スポーツ心理学研究の成果を広く社会に還元することも学術団体としての学会の大きな使命です。学会HP内に設けられた「中高生、市民のためのスポーツ心理学入門講座」にはすでに50を超える動画コンテンツが準備され、また機関誌「スポーツ心理学研究」へのアクセス数も年々増加しています。今後はさらにその活動を広げていく必要があるかもしれません。例えばオリンピックには、スポーツメンタルトレーニング指導士資格を有する学会員が、ウエルフェア・オフィサーとして日本選手団に加わったり、プロスポーツをはじめ様々なチームにおいてメンタルコーチやカウンセラーとしての活動が広がっています。また、公認コーチ育成を担当するコーチデベロッパー(コーチのコーチ)としての役割を担う学会員も増えています。まさに研究成果に基づく実践的活動であり、Scientist-Practitionerとして、人々にウェルビーイングをもたらすスポーツの牽引者たることが期待されています。こういった社会からの要請に、学術団体としてどのように応えていくのかも、重要な挑戦になるでしょう。少なくともこういった人材の資質能力の向上も学会の重要な責務と考えます。研究と実践のさらなる充実のために、場合によっては理事会機能の拡大にも着手しなければならなくなるかもしれません。 |
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まもなく迎える学会設立60周年、そして遠くに見据える100周年へとバトンを繋ぐため、学会員はもとより、関係諸団体の皆様とのコミュニケーションを大切にしながら、与えられた期間を皆様と一緒に完走したいと思っております。引き続き、ご協力とご支援をお願いいたします。
2025年10月吉日 |
| 日本スポーツ心理学会 会長 土屋 裕睦 |
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