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日本スポーツ心理学会は,2023年に50周年を迎えます.ちょうど前回の東京オリンピック(1964年)開催から11年後の1974年に本学会は設立されました.2020年には,再度東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます.また現在は800名程度の会員を擁し,年2回の機関誌の発行と年次大会を行っております.10年後,20年後の将来を描きながら,本学会をこれまで築き上げてこられた諸先生方のバトンを次の若い世代につなげられるよう,新しい理事の先生方と協力しながらがんばっていきたいと思います. |
そのためには,まず「スポーツ心理学」という学問領域を,一般の方々に理解していただき,その学問的重要性を広く認知していただくことが大切になるかと思います.学会設立当初から,現場への還元や啓蒙活動などが幅広く行われていたようです.しかしながら,いまだ学界の中でも一般の方々にも,十分認知されているとはいえない状況のように思われます.これから50年後に,世の中で必要とされる科学としての学問領域としていく努力が,全学会員の使命だと考えています.つまり,「スポーツ心理学」の学問的基盤をより強固にし,常に発展・成長していく必要があるでしょう. |
では「スポーツ心理学」とは何を目指す学問なのでしょうか.当初は体育・スポーツの指導ならびに実践に寄与することが大きな目的であったと思われます.つまり,体育・スポーツの発展のための心理学的研究といえます.しかしながら次第に,体育・スポーツだけでなく身体活動を手がかりに新たな人間理解を目指すことへも拡がってきました.つまり,体育・スポーツや身体活動を通した人間理解の心理学的研究といえます.そうした中,いわゆる近接関連領域との交流の中で依ってたつ理論や方法論も大きな拡がりを見せています.50年後に「スポーツ心理学」が学問領域として根づくためには,世の中の発展を見据え,問題となる事象・現象を明確にし,それぞれの会員が何を目指すのかを,広くかつ深く自らに問いかけ続けていく必要があると考えます.そうしたきっかけを作ったり,会員相互の交流・研鑽の場を準備することが,理事会の責務であると考えています.
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日本体育学会の体育心理学専門領域との統合問題もありますが,重要なことは「体育・スポーツ心理学」を発展させることです.どういった組織にすることが,「体育・スポーツ心理学」を発展させるのかを考えながら,この問題にも取り組んでいきます.また,3年前から一般市民向けの公開講座も開講してきました.こうしたアウトリーチ活動もより充実させる方向で検討していきます.さらに,2021年には台湾で国際スポーツ心理学会が開催されます.多くの若手研究者が発表できるようにも取り組み,国際的に認められる研究を推進していきたいと思います.そして,機関誌への投稿も増やしていきたいと考えています. |
学会の発展,学問領域の充実には各会員の協力が不可欠です.理事会も努力いたしますので,各会員のご協力をよろしくお願いいたします. |
2019年12月吉日 |
日本スポーツ心理学会 会長 山本裕二 |
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